テレビをつけていると、CMに入った。公園で待っている男性の元へ女性が走っていって雪見だいふくを渡す。男性がパッケージを開けて、一つ食べる。『大切な人と、半分こ。L◯TTE 雪見だいふく』という、謳い文句でCMが終わった。私の大切な人がCMに出てアイスの宣伝をしているのを今朝見たので、どうしても食べたくなり、とある人を待ってる間に食べてみようと思った。ペリペリと開けると、二つの白くて丸いものが出てきた。そしてピンク色のフォークが1本。こんなもので刺さるのかしら?と本気で思ったが、すんなり刺さってしまった。そして口に運び、一口食べてみると、なんとも言えない美味しさが口の中に広がる。私は夢中になって一つをパクパクと食べてしまった。最後にお餅の甘さが残り、最初から最後まで全部甘いので、とても美味しかった。ふぅーっと一息つくと、「紗夜?あら、それ…」私の待っていた人が私を呼ぶ。私が待っていたのは、誰もが知っている白鷺千聖。しかも、このアイスのCMに出てた張本人。「ええ、そうよ。貴女が出ていたコマーシャルを見たら、食べたくなってしまったのよ」と言うと、千聖は、「あら、そうなのね。実は私食べたことないのよ。」と言っていた。かなりタイミングがいいなと思った。「良かったら食べる?もう一つ余ってるのだけれど。」「ほ、ほんと!?やったー!」と子供のように喜んでいる彼女を見て、心がポカポカした。すると、彼女は自分のしたことに気がついたようで、少しジト目で、「何かしら?何か見たように見えるわ?」「ええ、そうね。私は今見たものを、ちゃんと記憶しておくわね。」と言うと、さらにジト目が増して、「あら、私はなにかしたのかしら?それはあなたの妄想ではないの?だいたい…」照れ隠しのくせに、色々めちゃくちゃなことを言っている千聖を黙らせるために、フォークをお菓子に刺し、千聖の口に押し込む。「むぐっ………モグモグ……あら、美味しいわね。」と機嫌を取り戻したようで、ほっと胸を撫で下ろす。「でも、アイスだから冬の季節に食べると寒いわね……紗夜、ちょっといいかしら?」と、何か思いついたらしき彼女に呼ばれ、「何?」と返事をする。すると、彼女は「立って」と言うので、素直に立ち上がると、「ッ!」何を口ずさんだのか分からないまま、彼女は私に飛び込んでくる。私は勢いを殺しきれずに、ベンチに倒れるような形で座る。「ど、どうしたのよ!大丈夫!?」「……紗夜が暖かい…」「何を言ってるの?」「私は幼い頃から、演技をして日々を過ごしてきたわ……そのせいで心はアイスのように冷たいの。だから、紗夜が温めて頂戴。」と言ってきた。丸山さんや瀬田さん、そして本人からちょくちょく千聖の過去は聞いていた。だから彼女が幼少期にどんな思い出過ごしたのかも知っていた。だから突き放すことなんてできなかった。でも、「あら、私は温かくないわよ?私はお餅にしかなれないわ。千聖が、自分自身を取り戻すまで粘り強く待つわね。」「……そうしてちょうだい」公園を吹き抜ける寒い風に、木々の枯葉がそれに乗って落ちてくる。私達にも寒い風が襲ってくるが、千聖が暖かいのもあって、平気だった。私も不器用、彼女も不器用。気の利いたことが言えないけれど、ずっと抱きしめあって、時間を過ごした。