握っていた手をひかれて、ふわっと音が聞こえそうなほど優しく天に抱きしめられた。「大丈夫だから、泣かないで。」 すごく優しい声。 落ち着くような、ドキドキするような声。泣きそうになっていたことはバレていたようだ。 「ボクも陸といる時間が好き。陸の言う通り、ボクはあそこでキミが来るのを待ってた。陸が悩んでいたように、ボクもずっと悩んでた。王族だって言わなかったことに怒るかなとか、今までみたいに話してくれないかもとか、もうボクとは会ってくれないかもとか。不安だったんだ。」 そういう天の表情は抱きしめられていて見えないが、はっきりとした声で丁寧伝えてくれる。 「でも今は不安はないよ。陸が来てくれて、今こうして話そうとしてくれたから。」