「やだ…」 ふるふると天の胸の上で首を横に振り消え入りそうな陸の声は空気に溶け込んだ。もういいかなと反省している陸を見て天の心は落ち着きを見せた。 「陸の意思で行ったんじゃないんなら安心した」 陸はがばっと顔を上げる。陸の綺麗な赤い髪が揺れ天の視界に映る。陸の形の良い眉が下がり今にも泣き出しそうな表情をしていた。 「だって、だって…!私の か、彼氏は天にぃでしょ!?ずっとだいすきなのは天にぃだけだもん!」 ランプの光で陸の顔はより一層真っ赤に見える。顔を真っ赤にして陸の口から思った以上の言葉が聞けて吃驚するが天の心は喜びを感じている。 だからと陸は言葉を続けて。 「嫌いにならないで…」 天の服を握りしめ身体を震わせながら紡いだ言葉は天の心に染み込んだ。