「陸、お待たせ。」ボクが部屋に入るとすぐさま陸が抱きついて来た。もう、行動の1つ1つが愛おしい。「陸。いきなりなんだけど、おつかいを頼んでもいいかしら?」母さんがしゃがんで、陸と目線を合わせながら提案する。「おつかい!!?」「そう。学校に行く途中に、スーパーがあるでしょ?」「うん!おっきいところ!」「そこでね、卵とケチャップを買って来て欲しいの。陸の好きなお菓子も、買って来ていいわよ。」「ほんと!?」「うん。1人でちゃんと行けるならね?」すると、陸の表情が一気に曇る。1人と聞いて、やはり不安だったのだろうか。 ボクが大丈夫か、と声をかけようとすると、「天にぃは…いっしょじゃないの…?」あぁ、ボクの天使。天使すぎる。たまに陸が、テレビのボクや普段のボクを見て、『天にぃは天使さんみたいだね!』と言うことがあるけれど。陸の方が、よっぽど天使だとボクはいつも思っている。 それを時々伝えてみると、ほんと?えへへ…と照れるものだから。一体、ボクをどうしたいのだろうか。「…陸。ボク、ちゃんと1人でもおつかいができる、かっこいい陸が見たいな…?」ボクは陸の両手を手に取り、目線を合わせ、できるだけ優しい声と笑顔でそう言った。 すると陸は、一瞬驚いたような顔をしたが、ぱっと目を輝かせて。「任せてよ、天にぃ!かあさん!」