ジロジロと見ていたら視線が合った。
…………。
いつも会う度にニコニコと柔らかな笑顔を浮かべるているその顔には、よくわからない表情を浮かべコーヒーを優雅に飲んでいる。
いったいなにを考えているのだろう。
アイリの作戦とは『すべて正直に話してしまおう』というものだった。
『いざとなれば記憶を飛ばせるから。それに……きっとだいじょうぶだよ。まずは私が話しておくから、後はおとーさんと二人で話してね。私は美沙と一緒に外にでてるから』
ということだったが……。
間が持たず、ただコーヒーを飲むばかり。
帆乃香ちゃんがカチャッと出したコーヒーを皿に戻す。まだ小学生だというのに、その仕草は堂に入った優雅とも言える仕草だ。
きっと居住まいを正して、俺を真正面から見据える。少しの沈黙の後、切り出したのは帆乃香ちゃんの方からだった。
「アイリちゃんから。全部聞きました」
全部? いったいどこからどこまで話したのだろうか。臓がバクバクする。今までに無いほどに緊張しているような気がする。
どこまで……と問いかける前に、帆乃香ちゃんが答える。
「私のお腹の中に、おじさんとのあかちゃんがいるんですね」
「ゴホッゴホッ」
いきなり確信をついたその言葉で、コーヒーが気管に入った。
「ご、ごめん。本当に申し訳ない。」
威圧感ある帆乃香ちゃんに頭を下げる。いや、頭を下げてどうなるというものではないのだが。まあこれしか無い。
「や、やめてください」
「えっ?」
「あ、あの許すとかじゃなくて……」
帆乃香ちゃんが顔を赤らめる。
「私……うれしいんです」
「はっ?」
思わず間の抜けた声をあげる。
帆乃香ちゃんの顔が真っ赤になっていた。
「あっ、いえ、……あの……お願いがあるんですけど」
「お願い。ああもちろんだ。どんどん言ってくれ。」
「2つがあるんですけど……」
黙って聞く。
「……てください」
ぼそぼそと顔を真赤にして十一歳の少女がつぶやく。
「あ、あの……も、もう一回いってくれるかな」
「私と、セックスしてください!」
小学六年生の美少女の声がリビングに響いた。
※※※
どうしてこんなことになったのだろうか。
キングサイズベッドの上で裸になっているのは、まあ毎晩のことだ。今日の相手はいつものアイリと美沙ではない。
「よ、よろしくお願いします」
俺の注文でハイニーソックスだけをつけた小学六年生が目の前に立っていた。ベッドの近くには綺麗に折りたたまれた服があり、育ちの良さを感じる。
恥ずかしそうに手で胸と股間を隠している。
「よ、よろしく」
「あの、どうすれば……」
「じゃあ……そこに寝てくれるかな」
「はい」
帆乃香ちゃんがベッドの中央にころんっと身体を横たえる。
帆乃香ちゃんは、アイリと同じ小学六年生だが、身体の成長具合は大分異なる。アイリの胸の成長は同学年の中ではなかなかすごく、すでにBカップほどの脹らみがあり、肉付きもいい。愛理が運動すきなので、やや筋肉質であり、身体をいじるたびに弾力のある反発がある。
帆乃香ちゃんの胸は脹らみ始めているが、まだ小さい。とはいえ小学六年生と考えると、そこまで小さいわけではない。それに帆乃香ちゃんの身体の特筆すべきは胸ではなくその肌だ。
絹のような肌とでもいうのだろうか。シミ一つ無くきめ細かな、毛穴一つ一つすら芸術品にすら感じる肌。
6年前とは全く違う美しさがそこにはあった。
いまからこの身体を貪っていいのかと思うと、生唾を呑み込んでしまう。
さっきアイリからメールが来た。『処理してあるから、思いっきりやっちゃても大丈夫だよ♥』ということだ。あいつにはすべてお見通しだったのだろう。
「あ、あの。私の身体。おかしいですか? 胸もアイリちゃんよりもちっちゃ…」
彼女がなにか言っていたが、耳に入らない。ただ心のそこから湧き出た言葉が放たれる。
「綺麗だ……」
「えっ」
帆乃香ちゃんの顔が赤くなる。白い肌のためによく目立つ。
俺はそのまま帆乃香ちゃんの上に覆いかぶさり、そっと肌に手を滑らせる。人間の肌とは思えない柔らかな手触り。
「んっ」
おまけに感じやすいようだ。
白磁を思わせる肌が、だんだんと赤みを帯びていく。その移り変わりすら芸術品のようだ。
「……本当にいいんだね」
もう孕ませているくせに何を言っているんだという感じだが。それでも聞かざる負えない。
「……はい」
強い決意を感じる返事だった。
そして、少女にとっては初めての性行為が始まる。
「あの」
「んっ?」
「最初は……き、キスしてもらえますか?」
目を瞑った帆乃香ちゃんに顔を近づけ、ちゅっとキスをする。それはいつもアイリや美沙にやっているような濃厚な性的なものではない。軽い、おままごとのような、純真なものだった。