ゴミが大きな環境問題になりそうだと気がついたのはもう何十年も前のことである。それから私たちの意識、行動はどの程度変わったのだろうか。
ゴミに限らず、私たちは嫌なものがとりあえず目に見えない状態になると安心する。子供が汚してしまった服のことをお母さんに言えずにそっとベッドの下に隠しておくこととどこか共通したものがある。とりあえず燃やしてしまえば、あるいは埋めてしまえば安心する。それっきり忘れられたら良かったのかもしれないのだが‥‥。
現実は、ゴミの増加に伴って、焼却による有毒なダイオキシンの発生、埋め立てによる土壌汚染などが明らかになった。見えないようにしていたものが、自分たちの健康を脅かすものとして見え始めた。そして、処理し切れずに、高くなる一方のゴミの山。大量生産、大量消費、そして大量のゴミという社会の仕組みを反省し、可燃、不可燃を問わず、とにかくゴミの量を減らさなければと考えた。
しかしどうやって?使い終わって不要になる物もあれば、壊れてしまう物もある。ぜいたくな暮らしでなくても、生活していればゴミが出ないわけがない。そこで、ゴミとして処理される運命にあったものを資源として再利用して新しい物を作ったり、あるいはまだ使えるなら、他の人が使ったりすることによってゴミの量を減らそうと考えた。ゴミの分別収集が始まり、フリーマーケットが盛んになったのもそのためだ、別の用途に使うことでもゴミは減らせる。ティッシュの空き箱を小物入れに使うなど、昔から色々なアイディアがあったが、昔との違いは「けち」というレッテルが張られなくなったことだ。
ゴミを減らすこと、資源として再利用すること、別の人が使ったり別の用途に使うことは、それぞれ英語でリデュース(Reduce)、リサイクル(Recycle)、リユース(Reuse)と言うので、その頭文字を取って「3R」と呼ばれる。日本でゴミ問題を考える際には、この3つのRのみが取り上げられることが多いようだが、実は第4のRがある。そして、この4つ目のRこそ日本の社会では一見簡単なようで、実はもっとも難しいものではないかと思われる。それはリフューズ(Refuse)、「断る」である。
「断る」というと、スーパーのレジでただでもらえる袋や本屋で当たり前のように付けてくれる紙のカバーのことを考えるだろう。しかし、このRには消費者としてゴミになる無駄なものを買わないということ、そして生産者側もゴミになるものを作らないということも含まれる。果たして日本ではどうだろうか。