この状況は、その後三日間続いた。 陸が寝不足に陥っている原因は、この徘徊にあると、メンバー全員は確信を持つ。 しかし、陸がこの状況に陥っている理由は、未だ解らない。 解っているのは、陸が何かを探していることと、終着点がゼロアリーナと言うことだけ。 一応、陸にこの状況を伝えてみたものの。『え、嘘?全然覚えてない』 『探し物?…オレ、何にも無くしてないよ?』 やはり、身に覚えが無いと言った反応が返って来るだけだった。 当初より、自覚が無かった陸であるから、当然とは言えるけれど、理由が解らないことには改善策が見つからない。 これでは、陸に手を差し伸べたくても、どうして良いか解らない。 徘徊する陸が事故に遭ったり、発作を起こすといったトラブルを避けるために、全員で陸を守ることを続けることしか、出来なかった。 陸を追い掛けるようになってから一週間が過ぎたその日は、壮五と三月が行動を共にしていた。 互いに無言で、けれど何が起こっても大丈夫なように身構えながら、陸を追う。「三月さん…」 「ん?どうした?」 「…やっぱり、九条さんに連絡を取るべきだと思う。あの人が陸くんの体調に気付かないとは、思えない…」