ゆっくりと瞳を開ければ真っ白な天井。 自分の身体なのかと疑うぐらい重い。 起き上がる気力もない。「……天?」懐かしい声。 覗き込んだ彼女は記憶よりも少しシワが増えて、目元は泣き腫らしたように赤くなっていた。「……かあ、さん?」 「天っ!天!あなた!天が…!!」 「天っ!良かった…。」 「父さん。」母さんと父さんはボクの名前を泣きながら呼ぶ。 涙を流しながらも、その表情は笑っていた。 その後は、医者が来たり、九条さんや理、楽に龍、姉鷺さんが駆けつけてくれた。 みんなに心配させてしまっていた。 それを痛感した。少し時間をおき、落ち着いてから両親と会話するようにと九条さんから言われた。「陸に会ったんだ。」 「え?」 「ずっとボクの隣に居たみたい、成仏出来ないで。」 「そっか。陸は天のこと大好きだったからなぁ。」 「そうよ。天のライブDVDを毎日見て、いつか病気を治して天と同じステージに立つっていつも言ってたわ。」涙を浮かべながら、母さんと父さんは微笑む。 やっぱり親子だ、と他人事のように思った。「陸に約束したんだ、ボクのこの世界で生きた物語を聞かせるって。だから、ボクは生きるよ。自分のために、陸のために。」 「天……。そう、なら私たちも前を向かないとね。ね、あなた。」 「そうだな。陸に笑われないように生きなきゃな。」 「天、これからは貴方のために生きなさい。陸が守ったその命を、大切にね。」 「うん。」高い場所から落ちたというのに、かすり傷だけで済んだ。 この事に医者は驚いていたが、母さんたちは「陸が天を守ったのよ。」なんて微笑んで言った。 落ちる瞬間にふわりと何かに包まれた気がした。 あれは陸が包み込んでくれたんだよね。ボクは生きるよ。 陸が見れなかった世界を見るために。 ボクの物語を綴るために。 全てを陸に教えるために。 ボクの全ては陸なのはずっと変わらない。ねぇ、陸。 ボクはキミをずっと愛しているよ。 陸はボクを離れてる間も愛してくれてますか?