「うん。でも、オレもまだ戸惑ってたし、迷いがあった。決め手になったのは……天にぃに会いたい想いがやっぱり、あったのと。川辺で、天にぃのこと考えながら歌って、その時に社長に褒めてもらえたからだよ。もちろん、川辺に行ってなくても、社長はいつもすごく人のことをよく見てくれてて、優しいから、アイドルになる道は選んでたかもしれないけど……でも、あの天にぃに歌を歌ってもらった思い出の川辺で、社長にオレもアイドルになれる、人を幸せにできるって言ってもらえて……不思議な縁を感じた。天にぃと、どこかで繋がっているような。だから、どれだけ父さんと母さんに反対されても、アイドルになろうって、天にぃに追いつこうって、思えた。結局、何もかも……オレの始まりは、天にぃなんだよ」天が歌って、踊って、夢を見せてくれた。そんな天と歌いたいと思ったから、幼い頃から苦しい治療に耐えられた。寂しい病室も、天がいたから耐えられた。天が家を出ていって、悲しかった。悔しかった。だからこそ、アイドルになって、天に追いつきたいと踏ん張れた。それらの土台があったからこそ、今、自分は大切な仲間達と新しい夢を見ることが出来ている。陸は心の底からそう思って、天に笑いかける。「……陸…」 「…その日記、定期的に読み返して、色々忘れないように、思い出せるように、してたんだけど。天にぃに返すよ。オレの5年間、少しは、天にぃに共有してほしいし」 「…」