「牧サぁン、寂しそうっすね」「はぁ? てか、なに」 マロこと栗林だ。隠そうとしていた感情をよりによって彼に指摘されたことに、少しばかりイラっとする。それがつい言葉に出てしまい、俺も修行が足りないと反省した。「後半パートが終われば? 懇親会だし、春田さんとこ行けるし。あ、俺も行きたいけど。んでテキトーに切り上げても分かんなくないすか?」 どうやら茶化し半分慰め半分らしい。懇親会が始まったからといって、そそくさと春田さんのところへ行くつもりなどない。そうしなくても、あちらが来るだろうという確信があった。このチームは彼の故郷なのだから、きっと彼はそうする。とはいえ、さっさと春田と消えたらいいじゃないかと提案するマロの気遣いも少々じんときた。どう返そうかと思案していると、肩口にくっついたマロの胸辺りから突然機械的な振動が伝わる。