「りく」 天にぃの小さなやわらかい声に、俺は振り返った。声と同じくらい、小さくやわらかく、天にぃは微笑んでいた。 俺たちは二人だけの天にぃの部屋で、一緒に夜景を見ていた。 すっと天にぃに手をひかれて、一緒にベッドに腰をおとす。天にぃの細くてきれいな指が、俺の指にからめられる。 「りく…」 天にぃが甘くささやいて、ゆっくりと唇を寄せる。 やわらかな感触が離れてしまうのがいやで、思わず天にぃの柔らかな髪に手を差し込んで天にぃの顔をぎゅうと自分に押し付けた。 口付けたまま、天にぃが笑うのがわかった。なんだか天にぃだけ余裕な気がして悔しかったが、実際、陸はいくらキスをしてもドキドキが治まらなくて、毎回いっぱいいっぱいになってしまうのだ。 こんなに好きがいっぱいで、どうやって落ち着けるのか誰か教えてほしいくらいだった。