誰が私の腕を引っ張り、路地裏へと連れ込んだ。初めは誰かわからなかったが、声と白い髪で、天にぃと確信した。「て、天にぃ⁉︎」 「陸、静かに」 「ん!」天にぃはそういいながら人さし指を私の唇の上に置いた。その間に、多くの人達は走り去っていった。天にぃが人さし指を離してから、改めて聞いた。「て、天にぃ! な、なんでこんなところに……!」 「たまたまそこらへんを歩いてたんだ。そしたら陸がこんなことになってたから、わざわざ追いかけたの」 「うっご、ごめんなさい……」天にぃも、私と同じような格好をしていたが、相変わらずの優しい目でそう言った。「ほら、陸。眼鏡と帽子かして、つけてあげるから」 「えへへ……ありがとう!」 「あ、その前に前髪直すから、目、つぶって?」 「ん? うん! わかった」天にぃの言う通り目をつぶって待つ。わしわしと前髪が触れ合う音がする。やっぱり天にぃは優しいなぁ。……って、天にぃの匂いがする……ち、近い?