「町に帰ってからギルドでジョブチェンジしても構わないけれど……ついでに冒険者ギルドで登録を勧められても面倒ですし、どんなジョブに就いたのか偉い人に探られるのも、誤魔化すのが面倒ですからね」 目立たずひっそりと……というのは、とっくに諦めているが、避けられる面倒は避けるに限る。その努力が、気休め程度にしかならないとしても。『そうですな、まだ正門には英霊が二人健在のようですし、ダルシア様達が始末する前にジョブチェンジすると良いでしょう』「……ああ、あっちにも居ましたか」 ちなみに、キゼルバインも既にマイルズに倒されており、魂は他の英霊達と一緒にヴァンダルーに喰われている。 マイルズ本人は、【獣化】を解いて元の姿に戻るのに時間がかかるため、まだ森の中だ。『では、その間は私が幻覚を映しておくので、お早く』 ダロークが光で、ヴァンダルーがその場に居るように幻を空気中に投影している間に、本物のヴァンダルーはサムの荷台に入ると、ジョブチェンジ部屋の水晶に手を置いた。「……【神敵】になった時より増えているじゃないですかー」 平坦な声でそう独り言を口にするが、ジョブの数は減らない。 【大魔王】は……【神敵】にジョブチェンジする時には出ていたジョブだ。【魔王】の時のように一瞬でレベル上限に到達は、しないと思うのだが。 【魂喰士】や【神喰者】は、初めて出たジョブだ。恐らく、人間や邪神悪神ではなく、この世界で生まれた神であるフィトゥンを喰った事がきっかけで出現したのだろう。 他の【ネルガル】、【羅刹王】、【シャイターン】、【蚩尤】は、地球の神話や伝説関係のジョブだろう。どういった伝説なのかは、後で細かく思い出せば良い。 ……一つ覚えているのは、【ネルガル】がレギオンの人格の一つが名乗っている女神の名、エレシュキガルの夫であると言う点である。 勿論、エレシュキガルは神話の女神そのものではないし、【ネルガル】のジョブにしてもネルガルそのものになるジョブではないだろうが。「とりあえず、今回は【死霊魔術師】を選択」 今回も空間属性の死霊魔術等、【死霊魔術】は応用力が高く、役立つスキルだ。今後の活用も含めたら、就いておくべきだろう。《【死霊魔術師】にジョブチェンジしました!》《【死霊魔術】スキルが、【神霊魔術】に覚醒しました!》