なのに、どうしてかそこにあの一人生き残ったエリザだけは含まれていない。「……どうだろ?確かに前の領主様とかは酷かったけど、テレジア様は助けてくれたし」 パウロは少し考えた後、そう言った。「クラウディア様も凄く良い方なんだよ。面白いし優しいし、気取った所も無いし」 続けられた言葉に、ラトカは長く美しい金髪の女性を思い浮かべた。言葉を交わした事は無いが、遠巻きにした際に何度か視線が合う事ならあった。 領主の娘の護衛騎士だ、ラトカの事は知っているのだろう。ラトカが兵舎で大人しくしているかどうか、様子を見ているのかもしれない。「エリザ様は……どうなるんだろうね。父親に似て酷い貴族になったら嫌だけど、テレジア様が育ててるし、領民の事をきちんと考える人になってくれればいいな。クラウディア様はエリザ様の事、良い子だって言ってるし、他の兵士も認めてるみたいだし、今のところは良い貴族なんじゃないかな?」 パウロは最後にそう自分の考えを締めくくり、丁度薬を塗り終えたのか薬箱を持って立ち上がった。「まあ、気になるなら見てくるよ」