夜の九時になると父と母には内緒の、陸とは十五も歳の離れた兄との大切な日課がある。それは陸が幼い頃からほぼ毎日欠かさずに行なっているもので、一日の中で一番楽しみにしていることでもある。 両親は夜は仕事でいなくなってしまうからいつも家には天と陸の二人きり。だからこそ内緒にしていられるのだと天が上機嫌に言っていたことがあったが、陸にはよく分からない。 自分の部屋で九時までに宿題を終わらせ、翌日の準備を済ませたら隣の天の部屋に向かう。二回扉をノックしてドアノブを回して中に入れば、天はパソコンに向かって作業をしていた。「天にぃ・・・」 「あぁ陸、もうそんな時間だったのか。」陸が天を呼ぶとくるりと椅子を回転させて振り返り、壁に掛けてある時計を見て時間に納得すると、パソコンの画面の電源を落として椅子から立ち上がり、シャワーを浴びてくるから準備をしておいてと陸に指示を出すとそれにコクリと頷いた陸の頭を撫でて天は部屋を出て行った。 一人になった陸は部屋の奥の壁際にある天のシングルベッドに向かうとその上に乗る。ベッドからはより一層天の匂いがして、まるで天にぃに包まれてるみたいだ、と思うと下腹部が僅かに疼く。頬をほんのりと染めながら、赤く透き通った大きな丸い目を恥ずかしさを隠すようにパチパチと忙しなく瞬きをして視線を彷徨わせると、そっとパジャマのズボンをパンツごとずり下げる。そのまま足からするりと抜くとベッドの下にぱさりと置いて、壁際にもたれかかるようにして座ると両膝を立てて少しだけ足を開く。「えっと・・・」