「確かにスゴイな」同じく、TWLは初心者の桜坂がボソリと口にすると。 「こんなのフツーだって」 「なんたってTWLだしな」 中野と山下がなにげに余裕をかましている。 「そっか。中野と山下は何回か来たことがあるんだっけ?」 「小学生のとき以来だけどな」 「でも、さすがに直営ホテルに泊まったことはない」 「......だな」泊料がすげー高いんだもん。言外にそう言いたげな顔つきだった。「だから、今回、俺たち超ハッピーだよな。一 般よりも十五分も前に入れるなんて超超ラッキー」 「え? そうなの?」 「直営ホテルはすんげーお高いけど、そういう特典がウリなんだよ」初心者の尚人に、中野が訳知り顔で説明をする。 「たかが十五分だろ?」桜坂が言うと。すかさず、山下がフンスと鼻息を荒くした。 「何言ってんだよ、桜坂。その十五分が勝負の分かれ目なんだぞ」 「そうそう。十五分の差ってすっげーアドバ ンテージなんだから」