何とかして下さい。私を見殺しにする気じゃないでしょうね。そんなことになったら、あなた方を恨みますよ。れえ...分かってますよ。でも、ちょっと相談する時間ぐらい下さい亭主、夫人とひそひそ話す。机の上の装置を指さしたりする。あの発明家は、貴重な人材なのだ。殺されでもしたら大変。冷たくあしらったりしたら、装置をもってよそへ行ってしまうだろう。二人は困惑の表情。若い女、老紳士に言う知りたがり屋の新入りさん。今回だけ例外として教えてあげるわ。あたしの取り付いている発明狂、実はあの侵入者の一味なのよ。詐欺の研究家だけあって、巧妙なもんでしょ。裏の裏まで計画しているわけよ。発明したと称する装置で資金をだまし取ろうにも、人間、いざ金を出す段になると、冷静に再検討したりする。その時、インチキのばれる可能性が強い。だけど、いまなら、相手の空想と期待は膨らみ始めたところ。人質としての価値が最高になっている状態でしょなるほど、考えたものだな。しかし、よく侵入者のタイミングが合ったものだそれはね、あの装置の中に、隠しマイクが仕掛けられていて、それから送られる会話を、外で受信して聞いてたってわけよ。人質としての芝居。あんなに大げさに痛がるなんて、演技だからこそできるんでしょうね。ほらほら、痛がってもがきながら、絵を指さしているでしょ。金庫の場所を教えているのよ。それに、あの悲鳴。あの悲鳴も、非常ベルはないようだということを知らせてるのよほんとなんですか....と老紳士が言うと、侵入者についている霊の婦人Aと婦人B、頷く。老紳士なげく。....ああ、なんというなんという悪知恵のある連中。私が死んでから、現世の方は一段とひどくなったようだ首領が返答を迫って大声をあげるおい、どうするつもりなんだすると、衝立の向こうで女の声。どうってことないわ....誰だ、お前はあたしは、あたしよ....ノミ小僧が言う。や、さっき飲んだ自白剤とかいうのが、まだ聞いてやがるみたいだぜ首領、首をかしげながら言う。なんだか、聞いたことのある声だな。誰か衝立の向こうに隠れているらしい。間の抜けたような声を出している。おい、そこで何をしていると声をかけると、眠そうな女の声。主人の浮気の事でここへ相談に来たのよ。そのうち、なんだかいい気分になって、横になっているの。ねえ、指示を与えて下さらない。あたし、どうしたらいいの。浮気な主人には、困りきっているのよ。その相手の女を、呪い殺してちょうだい。霊界とつながりがあれば、それくらいできるでしょよし、指示を与えてやる。そんな場合じゃないのだぞ。寝ぼけていてはいかん。お前の命に係わるぞ。起きろ。起きろ。目を開けて起き上がり、手を上げてこっちへ出てこい。声を立てると、ただじゃ済まんぞええ...衝立の向こうから、女が出てくる。和服の上に裏の赤い黒マントを羽織り、両手を上げているという異様な姿。震えながらの出現。侵入者たら、一瞬びくりとする。女、目をこすり、首領を見て声を出す。