外食企業の集客力アップや売上増加の手法としてゲリラ的即効性手法としていかに低価格で生活者を集客し、売上増を図ってきた時代は一昔の安直戦略であったかのように、いまや商品や料理の価格を下げても、本来の食の付加価値がなければ売上を増加させることも、客数を上げることもできない時代に突入していることだ。
過去において日本マクドナルドは平成不況が深まりつつある7年に、ハンバーガーを210円から130円に値下げ。10年以降も、期間限定の「バーガー半額65円」キャンペーンで売上高を伸ばし、13年のジャスダック上場時には「デフレ下の勝者」の異名をとったはずが。営業利益で6年連続、既存店売上高で8年連続プラスの好業績を維持した日本マクドナルド。24年12月期も増益予想で、景気低迷下で「増益街道」を突っ走ってきた起爆剤的低価格戦略。
もはやその反動は商品の付加価値低下という影響をまき散らしたにすぎなかった。むしろハンバーガーを59円に値引きし、「バーガーは安物」のマイナスイメージまで残し、赤字転落を余儀なくされた失敗の影も今はないはずであったものの、売上や客数減少を起こし、既存店売上連続で減少しているのがその末路であることだ。誰がこのマクドナルドの現在の苦戦を予想しただろうか。
そもそも付加価値とは、生活者のライフスタイルや年齢層によっても異なるように、料理そのものが安ければ、その料理の味や質は「まあまあ!」でよいというものではなく、本来は本物の質の高い料理をお値打ち価格で提供してこそ、そこに高付加価値が生まれてくるものであり、料理の味、質など常に高いサービスレベルを維持いなければ生活者の支持を受け続けることはできないことを理解しなければならない。
特に外食の場合は、料理そのものが一つの生活者を集客するための武器であり、高い付加価値がなければ、ビジネスとして成立しないことは言及してきたことであり、
つまりいかなる優れたマーケッテイング戦略を展開しても、その低価格という付加価値の魅力(一時的効果はあるものの)そのものが、多くの生活者にとって長く支持されない手法であることが、改めて認識された現実であることだ。
また同様に低価格戦争として牛丼業界に旋風を巻き起こしてきた御三家もようやく牛丼低価格戦争に終止符が打たれたことは周知の通であり、何故に維持になって利益を生み出すことのできない低価格で牛丼を販売し続けてきたことは、いま思えば単なる企業の意地であったに他ならない。いまや各社独自路線を走りオリジナルティある牛丼を開発し新しい牛丼の高いイメージづくりに躍起になっているのも昔を思えば不可思議な光景であっただろう。
しかしもはや料理の質や味レベルを維持せずして、ただ単に価格を下げる戦略は、生活者にとっては付加価値ではなく、単に胃袋の空腹を満たすための食事でしかないことを忘れてはならない。低価格で客数増化や回転率を上げる手法は、その薄利多売の効率性の仕組みが崩れてしまえば、赤字を招く大きなリスクを持っていることの証でもあることだ。
これまで幾度となく言及してきているように、本来の食の味や質を維持しつつ、高付加価値を生み出せなければ、生活者は魅力を感じなくなってきていることであり、ただ単に低価格であるというものでは生活者の支持は長続きしない時代になっていることだ。「生活者のニーズや志向は、いつの時代もさほど変わることはなく、美味しく、質の高い料理やサービスを求めていることは普遍的欲求であることを理解しなければならない。」
その基本に戻り本来の食の高付加価値を追求することこそ、次の時代への企業戦略になるはずであり、本当の付加価値を追求することを企業として取り組むことが大切であることを忘れてはならない。
これからの時代を生き抜く戦略とは「料理の高付加価値を維持することこそ企業の勝ち残るカギである」