その日も、エルファバはいつものように、大きな木の根本に座り込み、本を読んでいた。背中越しに伝わる、ゴツゴツとした木の感触。時折聞こえる小鳥の声。そして、手元の本に降り注ぐ木漏れ日・・・。中でも、この暖かく包み込んでくれる木漏れ日がエルファバのお気に入りだった。しかし、その、キラキラとした光が、ふいに遮られた。「君は、いつもここにいるんだね」影の正体を確かめようと、エルファバが上を向いたのと同時に、声が聞こえた。逆光で顔は良く見えないが、枝に座っているようだ。しかし、エルファバは、その声で・・・というか、エルファバに気さくに話しかけてくる生徒は、この学校に2人しかいないので、誰なのかはすぐに分かった。ルームメイトのグリンダでなければ、残りの選択肢は彼しかなかった。「フィエロ?」