「御堂…もしかして、御堂財閥の?」 「はい、次男坊ですがね。」 何もわからない、けれど彼女を守らないと、とでもう言う風に険しい顔で立つ雄ライオン。一方雌は、その芳香を漂わせながら、俺をまっすぐ射抜いた。それには、先程までの憎悪は見られなかった。 「そうですか、貴方があの時の…失礼しました。おっしゃる通り、僕は壮五、旧姓逢坂壮五と言います。今は彼、四葉環君と結婚して、四葉壮五です。環君、昔親族と血縁関係にあった御堂虎於さん。」 「初めまして。四葉環です。そー、壮五さんの夫です。」 「…初めまして。御堂虎於です。」 「それで、なぜあなたがここにいるのですか?ここは僕たちライオンの住む家です。虎はもっと先のところに住んでいるはず。」 「そうだそうだ!!それに急に入ってきて。」 「それは失礼。私はZOOL動物園に引っ越すため、今日一日ここへ泊ることになっていました。先程二人の人間に連れられ、もしかしたら今日はあそこの檻で寝るかもしれないと言われましてね。」 そう言って俺が先程いた場所を指すと、どうやらドアを壊してしまったらしい。二人が顔を青くして扉の所で言い争っている。 「僕たちはそのようなこと聞いてません。大体、なぜライオンと虎を?」 「私にもわかりません。しかし、ここで貴女と会ったことは、なにか運命を感じます。以前あった時の貴女はまるで美の女神、真珠のように輝く女性でした。血縁関係にはなくとも、その美しさに私は見惚れていました。今もなお、その美しさは変わらない。他者のものになってしまっていても、貴女は美しい。」