「ばっ、ちょ、何をぐえっ!?」
眩いばかりの白い肌が目に突き刺さり、思わず叫ぼうとした俺の口を塞ぐように、座敷童は人様の顔を踏みやがった!!
「……こんなカジノの街じゃ、赤い浴衣や学生服なんてとことん目立つ。でも、相手だってその強い印象に引きずられているはずよ。髪型を変えて着替えてしまえば堂々と出ていける。真正面から見られたら危ないけど、後ろ姿くらいじゃバレないはずよ」
「もがもごっ、げほっ! き、着替えってのは何なんだ……?」
すると、素っ裸の座敷童はひらひらと小さな布切れを振り回して、
「昨晩男女の営みがあったのか、捨て置かれたビキニがここに」
「わお! 良く拾う気になっぼがっ!?」
背に腹は代えられないのか、普段は着物しか着ないはずの座敷童が、面積の小さいビキニを纏っていく。
腰のサイドにある紐を蝶結びにする座敷童に、俺は何とかして声を放つ。
「おい、お前はともかく、俺はどうすりゃいいんだよ」
「あら、それなら大丈夫よ」
言って、何故か彼女は妖しげな笑みを浮かべると、
「男女の営みがあったのか、と言ったでしょう。男性用もセットで落ちているもの」
「……、おい」
「残念だけど、背に腹は代えられないのよね」
「待ってちょっと待っもぐっ!? 足で顔踏むな馬鹿っ! そもそも落ちてる水着とか怖いって不衛生! 不衛生ですよう!! ていうかいやあ、脱がさないでえ!!」
「はーい忍、お姉ちゃんと一緒にお着替えしましょうねえ」