ボク達は入り口に続く石段を上がろうとした時、眠っていた陸が龍の腕の中で目を覚ました。「あ、起きたみたい」と龍がボクに言うと、ボクは陸へと近づき、陸の顔を見る。ゆっくりとガーネットの瞳が開く。「んぅ・・・」 「陸、おはよう」 「天にぃ・・・おはよ」 龍の腕の中でもぞもぞと動き、龍の首に両手を回し抱き付く。どうやらこの体制が気に入った様だ。だが、陸が動いた事によって、楽の軍服が陸の頭からパサリと落ちると、真っ赤で綺麗な髪の毛が軍服の下から現れる。目立たない様にと楽が貸してくれたのにあまり意味がない。兵士の視線が更に陸へと集まる。「さっさと中へ入ろう」 陸を抱え直すとボク達は急いで軍の施設内へと入る。入り口を通り過ぎ、暫く歩くと、龍は陸を腕の中から下ろした。楽の軍服を陸から取ると、楽へと軍服を返すとその返された軍服を羽織った楽と龍は先に控室の方へ行くと歩いて行った。会いたくないがあいつに会って来ると、嫌々歩みを進めて行く。ボク達にはゆっくり来れば良いと二人が珍しく気を使ってくれた。陸はキョロキョロと辺りを物珍しそうに見回す。陸にとって研究所以外の世界を知らないから全ての物が初めて見る物ばかりで楽しいのだろう。「陸、こっち」 陸の手を取り、ボクは歩き始める。裸足の陸がペタペタとボクの後ろに付いて来る。部屋に着いたら陸に靴を履かせないと、と考えていたら後ろから声が掛かる。「あれ?九条帰って来たのか?」 「あぁ、和泉三月・・・今さっきね」