あの日のことは忘れもしない。 一年記念日のプレゼントを買った俺は、意気揚々と彼女の家に向かっていた。 所謂いわゆるサプライズってやつだ。 記念日に作られたお高いシャンパンを買って、二人で飲もう。 明日は彼女が好きなイタリアンコースの予約もしたし、きっと喜んでくれるはず。 家に近付くにつれて、どんな反応をしてくれるかという期待感と、ここまで用意してどこかで外してたら堪らないなという僅かな不安。 だが家の前で待っていたのはそのどちらでもない、自分の彼女が他の男と手を繋いでいるという訳の分からない状況だけだった。