「それでもいやじゃ! ぜ~んぶ儂のなんじゃ!!」<br><br>「ふざけんな。いつお前のになったんだよ」<br><br> ユウの抱える大きな布で包まれた物に縋るようにマウノが駄々をこねていた。<br><br>「おう、ユウじゃねえか。なんかあったのか?」<br><br>「おっちゃん、どうもこうも」<br><br>「おおっ!? ウッズ殿、いいところに!<br> ウッズ殿からも言ってくれんか。王が古龍の角を儂から奪うんじゃ!!」<br><br>「奪うってなんだよ。これはもともと俺のもんだろうが。大体、持っていくのも一番小さな角で、それも一本だけだって言ってるだろうが」<br><br>「それでもいやなんじゃ~!!」<br><br> とうとうマウノは地面に寝転がって手足をばたつかせて泣きじゃくる。普段のマウノを知っている者からすれば驚きの姿である。<br><br>「ま、まあ、マウノ殿のことはさておき。俺がいつまでたっても古龍の素材を使いこなせないのが原因か?」<br><br>「違うよ。ちょっと予定が狂ったから代わりに古龍の素材で代用するって言ってるのに、マウノが小さなガキみたいに駄々こねるから」<br><br>「それならいいんだが。俺も色々やってみてはいるんだが、なかなか上手くいかなくてな」<br><br>「別に俺は焦ってないから」<br><br>「そう言ってもらえると俺も助かるが。<br> それはそうと、お前どっか調子悪いのか?」<br><br>「なんで?」<br><br>「目が真っ赤じゃねえか」<br><br> ウッズがユウの目を覗き込もうとするが、ユウが顔を逸して目を合わせない。<br><br>「なんでもないよ。<br> それじゃ、俺は行くところがあるから」<br><br>「そんな急いでどこに行くんだ?」<br><br>「わかっていても、やられっぱなしってのは嫌だから」<br><br>「あん? なに言ってんだ」<br><br> 足に縋りつくマウノを払い除け、ユウは鍛冶場の外へと出ていく。その後ろ姿をウッズは見送った。<br> 鍛冶場ではいまだ泣きじゃくるマウノをどう慰めるかを、ウッズは考えなくてはいけなかった。
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