「いいんです。どういう由来だったとしても、今の気持ちは本物だと思いますから」
しばらく見つめ合う。
俺は決心して口を開いた。
「わかった。結婚しよう。ただし条件がある」
「はいっ。なんですか」
ぱぁっと顔が明るくなる。
「まずは結婚できる年齢になってからってこと」
「はい。十六歳ですよね」
すでに調べてあったのか、即答する。
「ああ、それまでに気持ちが変わらなければ結婚しよう」
「でも、十六歳だと親の同意が必要ですけど」
そこも調べてあるのか。
「俺が説得するよ」
帆乃香ちゃんの顔を見て真剣に話す。
「お腹の子のことは……ちょっと言い出せないけど、……もし、帆乃香ちゃんが、十六歳になっても、俺なんかと結婚したいっていうなら。俺が……帆乃香ちゃんのお父さんとお母さんを説得するよ」
「おじさん……」
「だから、元気な子を産んでくれ」
「はいっ。元気な子を産みますね」
ぎゅっと帆乃香ちゃんが俺の胸に飛び込んでくる。
抱きしめる。華奢で折れそうな体だな。
しかし、たいへんなことになったなあ。アイリたちになんて説明しよう。
「おめでとー!」
バタンと寝室の扉が開いた。
「アイリ!」
「アイリちゃん」
いきなり寝室の扉が開き、アイリと美沙が入ってきた。
「全部きいたよー。すごいことになったね」
アイリがニヤニヤと笑っている。
「結婚するんだって?」
「うっ、すまんアイリ。お前に相談しなくて」
「ふふ、いいよ。私もなんとなくわかってたし。帆乃香ちゃん、おとーさんのことが好きだったものね。それに帆乃香ちゃんがお母さんになるのもいいかな。って思うし」
「この人がお母さんになるの? アイリお母さんはお母さんじゃなくなるの?」
美沙がよく分かっていない感じでアイリと帆乃香ちゃんを交互に見る。
「んーっと。ややこしいから、またあとで話してあげる」
「うん!」
「ふふっ、仲がいいんですね」
「帆乃香ちゃん。あとアイリや美紗のことだけど……」
「えっ、はい。毎晩セックスしているんですよね。もちろんいいですよ。だってそうしなきゃ死んでしまうんですよね」
「あ、はい」
そこまで話してあったのか。しかしすごい割り切り具合だなあ。最近の子どもは恐ろしい。
「でも、私にも同じくらいしてくださいね」
ニッコリと笑う。少女の笑みは一見優しい物だったが、その奥にアイリ以上の何かを見てしまった。
タジタジになる俺をおいて、娘二人と婚約者の少女は
「よろしくね。アイリちゃん。美沙ちゃん」
「これからもよろしく。帆乃香ちゃん」
「うん。よろしくね」
なんでこうなったんだろうなあ。
美少女が三人仲良くしている姿。本来微笑ましいものであるその光景を見ながら……まあ、なんとかなるか。と考えた。