「大丈夫だよ、彼はあれで根は優しい。キミに暴力をふるったりすることはない」
「……はい」
「不安かもしれないが、元気をだして欲しい。私にできることなら何でも協力するから……ね」
「ありがとう……ございます」
クロエがイレーヌを慰めていたようだ。俺は室内に入ると、クロエに自室に戻るように頼んだ。
「今日は疲れているようだし、ゆっくり休ませるべきだ。ないとは思うけれど、まさかあの状態の彼女に手をだすつもりじゃ」
「さすがにないから安心してくれ。四万はちゃんと返すからよ。あんがとな」
「うん、ならいいんだ。お休み二人とも」
さて、これでイレーヌと二人きりになった。まず会話でもして緊張ほぐしてやるかと思ったんだが……どうも発作が起きちまったらしい。
「ごほっごほっごほっ、すみまごほ、せん……ゲホゲホッ」