ロボットの制御技術の多くは、古くから研究開発はかなり先行しており、「プロセッサのパ フォーマンスやハードウェア技術が進歩したので実現できた」というパターンが多い。産業用 ロボットにとっては、制御技術は生命線であり、今後とも数多くの研究開発成果を背景に、ハ ードウェアの発展と調歩して、着実に進歩すると思われる。 ここでは、ロボットがメカトロ製品であるということに着目して、制御技術への期待につい て、ワンポイントのみ述べる。メカトロ製品とは一つの目的を機械側と電気電子側双方から合 理的なアプローチにより解決した製品である。例えば位置決め精度を上げるにしても、タクト タイムを上げるにしても、機械で解決するというアプローチもあれば、制御で解決するという アプローチもある。いわば製品競争力はその両者の組み合わせで、目標仕様とコストパフォー マンスをいかにクリアしているかで決まる。 すでに、溶接などの主たる普及用途向けロボットではメカトロ的最適化が進んでいるものの、 その他の用途では、一般論の域を出ていない。今後、本来のメカトロ的取組でその用途のベス トロボットを求めることで、その他多くの用途への拡大に努める必要がある。 機械と制御の両方を目的に合わせて特殊化することにより、極端にエネルギー効率を上げる といった研究開発例[3]なども、今後のメカトロとしてのロボット技術のあり方を示唆している。