切羽詰まる声でそう告げると、俺は涙を零した。すると、唐突に唇を奪われる。「…んん、」うっすらと口を開けるとその隙間から舌を入れて、深い口付けをする。自分の舌に深く絡みつき角度を変えながら何度も何度もキスをする。「…嫌っ……ふっ…天にぃっ」天のキスを拒もうするが、顎を掴まれ身動きが取れない。唇の端から唾液から溢れ落ちる。やっと唇が離されると陸は、潤んだ瞳で天を見た。その瞳は暗闇の中で鋭く光っていた。怯えて咄嗟に身を引こうするが天の腕がそれを許さない。「…ずるい兄だって思ってる?散々君を突き放して今更君が欲しいだなんて。自分でも、愚かで笑えてくるよ。それでも、ボクは君を離したくない」「君が、好きなんだ」真っ直ぐな瞳でそう告げられる。心臓が掴まれたように苦しくなった。頭の中で、天の言葉が響く。陸は、言葉を発せなかった。置かれた状況を飲み込むのに背一杯だ。すると、そのままベッドに運ばれ、天が自分に覆い被さる。ベッドのスプリングがぎしりとなり、蝋燭の炎だけが寝室を照らしていた。ただ受け入れるだけで、自分達は堕ちてしまう。陸は、それでもいい気がした。たとえずるい兄だとしても、この世で大切な一番大事な人である事に変わりない。腕を伸ばすと天のキスが降ってきた。