青葉は、三人でバディを決めた時の事を思い出していた。
あの時は、まさかディオが自分を選んでくれるなど夢にも思っていなかった。
口を開けば憎まれ口ばかりで、いつも喧嘩ばかりしていたのに。
だけど、ディオとそんな風にしていられた時が、一番幸せだったのかもしれない。
「青葉君が思っている以上に、ディオは君の事を想っていると思うよ」
フロムの言葉を聞きながら、青葉はゆっくりと歩き出したのだった。
誰もいない廊下を歩きながら、青葉はフロムの言葉を反芻していた。
恋人を信じる?じゃあ、あのキスマークは?
あれこそが、他の男に体を許した確固たる証拠なのではないだろうか。
頭が混乱して、もう何を信じたらいいのか分からない。
そういえば中佐が来る前に、この廊下でディオと話したっけ、なんて、そんな思い出ばかりが蘇ってきた。
『……だが、まだ心の準備が出来ていない』
『えっ…?』
『だから、その先は…、少し、待っていてくれないか』
あの時のディオは、何処か必死さを漂わせていた。
何を意図して、あんな事を言ったのか。
あの言葉さえも、全て偽りだったのだろうか……。