ゆっくりとオレは九条に近寄って行く。何を隠し持っているか分からない。元師と呼ばれるぐらいだ・・・それなりの力はある。きっとオレの攻撃パターンなどは全部知っているだろう。「どうした?攻撃して来ないのかい?私を殴りたいのだろう?」くいくい、と指で挑発される。この人はオレで遊んでいる。 天にぃを欲しいが為にオレ達が住んでいた街を焼き、両親を殺しても尚悪びれる様子もなく、ただただ・・・楽しんでいた。「しかし、私は感謝されても恨まれる筋合いはないのだがね・・・」 「どういう事?」 「病弱だった君をここまで強くしてあげたのだから感謝されるべきだと思うのだが?家族や天にいつも迷惑を掛けていた君が今ではどうだい?強い力を手に入れ、天の為に戦っているのだよ?」 「・・・確かに、天にぃや両親にはいつも迷惑ばかり掛けていたオレが、今じゃこんなにも凄い力を手に入れて天にぃ達の為に戦っている。いつも天にぃに守られていたオレが天にぃを守れる力を手に入れた・・・だけど、それとこれとは違う。オレが望んで欲した力じゃない!」ぐっと膝に力を入れ、一気に間を詰める。だが、やはりオレの行動は読まれていて、いとも簡単に避けられてしまう。壁にぶつかりそうになったオレは体を捻り壁に足をぶつけその反動で再び九条へと突き進む。攻撃が避けられても構わない。いつかはきっと当たると信じて・・・「攻撃パターンが同じだよ・・・それではいつまでも私は殴れないよ・・・七瀬陸君」 「・・・っ!」