「【舌鋒】」 その頭部が、駆けつけたヴァンダルーの【格闘術】の武技……伸ばした舌による鋭い一撃によって貫かれ、ジャイアントホーンラビットは絶命した。「クウゥン、クウゥン」「ダメでしょう、ファング。俺達は皆の晩御飯、串焼きの材料にするための狩りをしに来たのに、お前が魔物のご飯になってどうします」「魔物と戦った経験も無いのに、飛び出して」「ダメだよぉ、調子に乗っちゃぁ」「キチキチキチ」「クゥン……」 危ないところを助けられたファングは、ヴァンダルーと彼からずるりと姿を現した先輩達の説教を受けて耳をだらりと垂らした。「力が漲るのは分かる。だけど、幾ら力があっても経験が無くては勝てない。戦闘の経験を、妾以外を見習ってこれから積みなさい」「クインは自分じゃ戦わないからねぇ……頑張るんだよ」『ぷぐるるるっ』「クイン、アイゼン、キュールが血抜きをしておいてくれたので、俺は解体にかかります。あ、ファング。途中でおいて来た荷車を取って来てください」 しかしいつまでも叱っている時間は無いので、反省したようだし早速仕事にかかるヴァンダルー達。「ウォン!」 ランク2の魔犬に変異したファングの犬生は、まだ始まったばかりである