うっすらと目を開けた陸に、思わず陸の手を強く握ってしまう。「りく?りく!!? 僕の声が聞える?」「・・・ん・・・。」「ねぇ、りく・・・・・・・。 こんな、こんなダメなお兄ちゃんでごめんね。 りくを置いていった僕に謝る資格はないのかもしれないけど。 でも、ごめんね、ほんとうにごめんね。」置いていっていってごめんね すぐに駆けつけてあげられなくてごめんね こんな・・・こんなどうしようもなくて不甲斐なくて意気地なしでダメなお兄ちゃんでごめんねたくさんの陸に対しての「ごめんね」が溢れてくるそうだ。僕はずっと陸の優しさに甘えていた。本当は気づいていたんだ。 陸は僕のことを忘れたわけじゃない。 僕のために忘れたふりをしてくれていたんだってこと。 それに気づきながらも自分のために目を背けて。本当は時折見せる悲しそうな顔も、寂しそうな顔も、辛そうな顔も。 ぜんぶぜんぶ気づいていた。だけど、僕は僕のためにすべて見ないふりをした。陸の死と向き合うのが怖くて。 陸に罵られるのが怖くて。今までどれほど陸は辛かっただろう。 結局僕は家族を捨てて出て言ったあの日から何一つ変わっていなかった。「・・・あやまらないで、てんにぃ・・。」そう言って陸はこんな時でも優しく、よわよわしく僕の手を握り返す。 まるで「だいじょうぶだよ。」と言っているかのように。「・・・りく。」