「ちょっと、あんたたち!社長が暴走してるわよ⁈」 楽屋に入って早々、姉鷺が声を荒げた。 その勢いに圧倒されながらも、楽が言葉を返す。「……あー…クソ親父が暴走してんのは、通常営業だろう」 「そんなもんじゃないの!今すぐTRIGGERのメンバーを増やすって、興奮してるのよ‼︎」 「「 ………はぁ⁈⁈ 」」 さすがに驚きの展開過ぎて、楽と龍の声が思わずハモる。 その隣で、陸が首を傾げて、目をパチクリとさせていた。「なんか、すっごい美少年を見つけたとか言って……」 姉鷺が言いかけた時、コンコン、とドアをノックする音が部屋に響いた。「来たわよ…」 「え。まだ心の準備が…」 「準備とかの問題じゃないだろうが」 あたふたとする龍に、楽が冷静に指摘する。 陸はと言うと、全く状況を把握していない様子で、頭の上にクエスチョンマークを飛ばし続けている。 それをフォローしようと姉鷺は考えたものの、説明するには時間が足らなさ過ぎるため、諦めた。 各々が個性豊かな反応を示す中、扉がバタンと開いた。「姉鷺!今すぐ記者会見の準備をしろ!TRIGGERの新メンバー発表会見だ!」 「…社長、これから生放送よ?」 「じゃあ、その番組を記者会見に切換えろ!」 「バカかこのクソ親父!そんな勝手出来る訳無いだろうが!」 「そこを何とかするのがマネージャーの仕事だろ!」 「そんな仕事聞いたことないわ!だいたい、大物ならまだしも、この子たち新人なのよ⁈」 「……チッ。使えないな…」 「使えないのは、てめーだろう、アホ親父が!一旦頭冷やして来やがれ‼︎」 会って早々にトップギアな社長とツッコミチームの応酬に、龍と陸は置いてけぼりになる。 ぽかーんと2人並んで口を開けていると、別のところから、もう一つ、声が聞こえて来た。「あの、そろそろ入れて貰って良いですか?それに、ドアを開けたままするような会話の内容じゃ無い気がするのですが…」 凛とした声にバッサリと状況を切られ、ヒートアップしていた3人は、ハッと我に帰る。「あ、あぁ…すまないな。さあ、入りなさい」