今後、導入が進む分野としてはどんなところが考えられますか。
比留川 これまでは自動車産業と電子回路を製造する電機産業が中心でしたが、食品、薬品、化粧品という“三品産業”に広げていくこと、そして大企業でしか使われていなかったロボット化を中小企業に広げていくことがポイントです。三品産業にはアームの先端部分を樹脂にして洗浄できるようにし、滅菌が可能になれば採用が広がると思います。中小企業向けでは、2012年に掃除ロボット「ルンバ」の生みの親である元MIT教授のロドニー・ブルックスが設立したRethink Robotics社が「BAXTER(バクスター)」という双腕タイプのロボットを2万2000米ドルで発売しました。ブルックスは「アメリカの製造業(Made in U.S.A.)を復活させる」といって、中小企業をターゲットに、2万ドルという破格値で出したのです。
ロボットが今まで中小企業で使われていなかった理由は、価格が高く使い方が難しかったからです。日本メーカーが出している双腕型ロボットは約700万円します。それを3分の1程度にしたわけですから、価格面でのハードルは大きく下がりました。また、従来はプログラミングでロボットに作業を教えなければなりませんでしたが、バクスターはそれが一切不要で、手先を持ってダイレクトに導いてやることで、作業の手順を教えることができます。ただ、位置決め精度に難点があり、これからが正念場だと思います。