話し合いのその日の夜から陸の夜の様子を確認することにしたメンバーは、陸にそのことを伝えた。 最初は、心配し過ぎ、とごねた陸だったけれど。『目の下の隈が無くなってから、そいう言うことは言うように。…このままじゃ、絶対倒れると思うぞ?』 そう、三月に一蹴されて。 渋々ではあるが、就寝中にメンバーを部屋の中に入れることを受け入れた。 別に、部屋に誰かが居ることを望ましく思わなかった訳では無くて、そこまで皆んなにしてもらうのは申し訳ないと思ったから戸惑ったのだと、困ったように笑う陸はいつもと変わらなく見える。 だからこそ余計に、目の下の影が痛々しく見えた。 成人であることと翌日の仕事が夕方からであることを理由に、最初は三月が見守ることになった。 但し、夜中の二時を目安に、翌日の仕事が無い大和に交代することになっている。 深夜帯に連続で見守り続けるのは、どうしても身体に負担がかかってしまうため、学校がある一織と環を除いたメンバーでの分担制にすることにしていた。 その日、三月が見守る中、陸は仕事の疲れからかあっという間に眠りについた。 三月は眠気防止のためにスマホを弄りつつ、時折陸に視線を送る。 スヤスヤと寝息を立てながらぐっすりと眠る陸は、隈を作るような状態にはとても見えない。 陸が大丈夫と言っていたことも、これなら頷ける。 では、陸の目の下の影の理由が睡眠では無いとしたら、他には一体どんな理由があるのだろうか? 一瞬、天の面影が三月に浮かんだけれど。 それを問うには時間が遅いし、天を理由にする決定打が見つかっている訳では無い。 三月は溜息を吐きながら、無意識で開いていた天のラビチャの画面を、そっと閉じた。