「続いては『twins』のお二人です!どうぞー!」 「「こんにちはー」」二人は仲良く挨拶して少しトークをした後、歌い始めた。「陸…」陸の歌声を聞いて思わず泣きそうになってしまう。陸は身体が弱かったから歌うことも出来なかった。だから歌声も聞いたことがない。陸の歌声はボクの心の中にまで、陸の歌への気持ちが伝わってきて身震いした。「羨ましいな…」子供の頃は陸と将来は一緒にアイドルになろうねと言い合っていた。その願いはもう叶うことがないのに、今目の当たりにしている彼らは叶えてしまっていた。そんな姿を素直に羨ましいと思う。 二人はミスすることなく完璧に歌い上げ、最後まで笑顔で仕事を終えた。この後は仕事はないというので、二人が暮らしているというマンションへ一緒に行くことにした。そこでなら他の人に話を聞かれる心配もない。二人は今は実家を出て二人暮らしをしているらしい。「…お邪魔します」陸に「こっちこっち!」と腕を引っ張られ、ソファに案内されたのでそこに腰を下ろした。 三人とも座り、ボクはここに来てからの考えを二人に全て話した。「え!?そんなことってあるの!?」陸はすごいすごい!と一人で騒いでいた。こんな信じ難い話をすぐに信じてしまうなんて、どこの世界の陸も変わらないのかもしれないな。「ちょっと陸は黙ってて」こっちの世界のボクはまだ状況が把握できてないみたいだ。「まって…一回整理させて」 「うん」 「君はこことは違う世界から来た」 「うん」 「君の世界では借金を肩代わりしてくれるという九条に着いて行った」 「うん」 「でもその数日後、陸が持病を悪化させ亡くなった」 「…うん」 「で、陸の命日だからお墓参りに行ったら突然光に包まれ、気付いたらこの世界にいた、と」 「そう」