グローバル化、 IT化といった世界的な流れの中で、 消費者のニーズは多様化し、 製品のラ イフサイクルは短くなっており、 日本企業を取り巻く競争環境は厳しさを増す一方です。 こうした 中、 新たな顧客の価値を生み出す 「イノベーション」 の重要性は高まるばかりで、 各社ともど のようにイノベーションを生み出すか試行錯誤を重ねています。 イノベーションを創造するため の手法は業種や事業領域によって様々ですが、 変化の激しい競争環境の中で、 自社のリソー スのみでイノベーションを起すことはもはや不可能です。 今日の企業経営において、 世界中に 広がるリソースを活用するオープンイノベーションは、 実践しなければ生き残れない必須の戦略 となったことから、 日本におけるオープンイノベーションの現状を可視化するため、 可能な限り 多くのデータを集めて掲載するとともに、 既に試行錯誤を繰り返しながらオープンイノベーション によって一定の成果をあげてこられた企業の事例を掲載した 「オープンイノベーション白書 (初 版)」 を2016年7月にとりまとめました。その後、 世界的な潮流として、 大企業とベンチャー企業間の協業 ・ 連携が急速に増加する とともに、 日本企業においてもコーポレート ・ ベンチャー ・ キャピタル (CVC)、 ベンチャー企業 を支援するインキュベーション施設、 アクセラレータープログラムの設置などの取り組みが加速 するなど、 オープンイノベーションを巡る情勢は急速に進化しました。 その間、 オープンイノベー ション協議会はベンチャー創造協議会と合併し、 2017年3月からオープンイノベーション ・ ベン チャー創造協議会として生まれ変わっています。今回の 「オープンイノベーション白書 (第2版)」 においては、 第1章 「オープンイノベーショ ンの重要性と変遷」 において初版の基本的な記述等を再掲しつつ新たな動きを追加するととも に、 第2章から第4章では統計データや企業 ・ 地域等による推進事例の更新、 国際比較等を 行い、 第5章で 「我が国のオープンイノベーションの課題 ・ 阻害要因 ・ 成功要因」 を分析して います。 編集にあたっては、 オープンイノベーション活動は何を目的に取り組むのか、 どのよう な効果を期待するのかに着目するとともに、 新製品の市場化などの具体的な成果を出しつつあ る取り組みを整理しました。 これにより、 オープンイノベーションの必要性が浸透してきたという 現状認識の下、 現場の担当者がオープンイノベーションに取り組む際の指針となり、 どのような ことに注意をして取り組めば良いかが、 判りやすい内容とすることを目指しました。 本白書が日 本のオープンイノベーション推進の一助になることを願います。