一連のコントのような展開に、楽は専用のレジャーシートに崩れ落ちる。 直前の炎天下で体力を、日陰では精神力を奪われて、疲労困憊なのは明白だった。 但し、双子には届いていないけれど。「……楽、大丈夫?」 「……暫く無理」疲労の原因の一端である龍から、冷えたスポーツドリンクを渡される。 何とも複雑な気分になりながらも、楽は素直に受け取った。 それから、疲れから回復するために、数口ドリンクを飲んで、レジャーシートに仰向けに倒れ込む。 そして、そのまま休もうと心に決めたものの。「あーあ。天にぃの練乳食べたぃなぁ…」陸の発した言葉に、思わず反応してしまう。「天の?」 「練乳?」隣の龍と、思わず目を合わせる。 陸の言語は、たまに……いや、結構謎に満ちている。 TRIGGER結成当初は、その解読に龍も楽も、それはもう苦労した。 瞬時に陸語を解読出来るのは、今でも、ただ1人。 後からメンバーとなった、陸の兄の天だけ。 問題は、解読をしても、天がそれを周りに伝えないところだ。 緊急性が無い限り、天は解説をしてくれない。 つまりは結局、龍と楽の苦労はさして変わりない、と言うことで。 今回も謎のまま、陸と天の会話は続いて行く。「良いよ。日本に帰ったら食べさせてあげる」 「わーい‼︎天にぃの練乳、白くてちょっとねっとりしてて、すっごく美味しいんだよー…えへへ」(白くて?) (ねっとり?)仲良く花を飛ばしながら会話する双子とは対照的に、龍と楽は怪訝な表情でヒソヒソと話す。 練乳と言えば、イチゴなどに掛けるあの、甘い白い物体しか思い浮かばない。 しかし、天の、と所有格が付くからには、当然字面通りのものでは無いのだろう。「陸、ニヤけ過ぎ。それに、あんまり食べ過ぎると身体に障るから、ほどほどにね」 「えー!」 「えー、じゃありません」 「むぅ……せっかくいっぱい食べられると思ったのに…」 「帰ってからだけじゃなくて、他の日にもあげるから。ね?」 「約束ね?」 「うん」