「七瀬さん」 「え?」 呼びかけられて振り向けばTRIGGERのセンター九条天がいた。 「少しいいですか?」 「あ、はい」 オレなんか九条さんを怒らせるようなことしたかな?と首を傾げているとオレと九条さんの間に一織が割って入った。 「七瀬さんに何か用ですか?」 「少し話があるだけだけどなんか文句でもある?」 「一織、オレなら大丈夫だから。ちょっと行ってくる」 にらみ合いでもしそうな雰囲気に慌てて一織にそう言うと一織は渋々だけど引き下がった。 一織がオレのことを心配してくれてることは分かってるけど正直ちょっと怖かった。 廊下の奥の誰も来なさそうな薄暗い場所にある休憩室に向かうと九条さんは立ち止まった。 「単刀直入に聞くけど、君Ω?」 「っ!?」 びくりと身体が跳ねた。その反応が答えだと思ったのか九条さんの口元に笑みが浮かぶ。 「ふぅん。やっぱりそうなんだね。気づいてた?さっきフェロモン出てたよ?」 どんっとオレの顔の横の壁に九条さんの手が置かれる。 いつのまにか壁に押し付けられ逃げ道を塞がれてしまっていた。 (逃げなきゃ!) そう思うのに身体が動かない。 「く、九条さんは…α、なの?」 うまく回らない頭でそう問いかけると九条さんはにこりと男のオレでも見惚れてしまうような綺麗な笑みを浮かべた。 「そうだよ」