「まあ、どうしましょうかしら?」 その視線を受けたダルシアは、腕を組んだまま黙っているオールバックの男……『飢狼』のマイケルを見上げる。 視線を向けられたマイケルは、小さく口元を振わせて腕組みを解いて言った。「お前ら、先に見回りに戻ってろ。俺はこのガキと話がある」「えっ? そ、そんな、マイケルの兄貴ぃ」「独り占めは無いですよ、こんな上玉」「ウダウダ言う暇があったら、さっさと見回りに戻れ! 殴り殺されたいか!?」 先程のチンピラの威嚇とは比べ物にならない迫力の怒鳴り声に、チンピラ達は悲鳴を上げ、逃げるように通りに戻っていく。 裏路地に居た他の者達も震え上がり、屋台の経営者以外は逃げ出してしまった。 すっかり人気が無くなってしまった様子の裏路地に、ヴァンダルーは溜息をついた。「他の屋台の人の営業妨害ですよ。マイルズ」「あ、しまった……ごめんなさいね。ボスがあいつ等を惨殺しないようにってつい焦って、やりすぎちゃったわ」 モークシーの裏社会で姿を現してから一カ月と経たない間にボスまでなりあがった男、『飢狼』のマイケル……だと偽って潜入している深淵貴種吸血鬼マイルズは、いつもの口調に戻って頭を掻いた。