「その竜騎士、ソラっていう名前なんですが、たぶん今イシュカで一番の有名人――」 なんですよ、と続けようとしたパルフェだったが、ゴズが鋭い声音でそれをさえぎった。「待たれよ!」「うぇ!? な、なんですか?」「……今、ソラといったか?」「え? あ、はい。その竜騎士の名前はソラさんですが……」「ソラ……空? 年は? その者の年齢は?」「ええと、たぶんそちらのクリムトさんやクライアさんと同じくらいではないかと」 パルフェが応じると、ゴズの口からうなり声が漏れた。「髪の色は? 黒か?」「はい……あの、もしかしてお知り合いですか?」「……かも知れぬ。すまぬが、その者について、も少しくわしく聞かせてもらいたい。竜騎士になった経緯や、スキュラやグリフォンを単独で仕留めたという件についてだ」 ゴズはぐいっと上体を乗り出すようにしてパルフェに問いかける。 その目は射抜くような鋭さでパルフェの面上に据えられ、てこでも動きそうになかった。