「ケンイチさん、よろしいですか?」「私は良いのですが新製品の実験に部外者が立ち會ってもよろしいので?」「ああ、構いませんよ」 商會トップのマロウさんの許しがあるなら良いのだろう。 だが、それは午後からか。時間があるな──。「それならば私は午後に、もう一度お伺いしたいと思いますが」「承知いたしました。それではお待ちしております」 午後まで時間がある。それなら冒険者ギルドへ行って登錄をしてこよう。 プリムラさんに冒険者ギルドの場所を聞くと大通り沿いにあるという。 高い料金の馬車に一々乗っていられない。30~40分も歩けば到著するのだ。 通りにあったのは、剣と盾の看板が掲げられた石造りの2階建ての建物。結構古い物で中々に風格があり、建物の端が蔦で覆われている。 窓にはガラスが入っているので、中に入っても明るい。 結構人がいて賑わっているが──そりゃ、この世界のハロワだって言う話だからな。職を求めている人が沢山いるんだろう。 とりあえず正面の窓口へ行ってみる。白いブラウスに赤いベストのお姉さんが対応してくれた。