手を広げてを迎え入れる体制にすると、勢いよく飛び込んできた陸が鳩尾に入り身悶える。ぐっと体制を整えてからすでにいた天の隣に陸が入ってもすっぽり収められる小さな体に、楽の中で俺がこいつらを守ってやらなければと使命感が生まれる。 母親を亡くし、父親は行方知らず。 今この幼い双子が頼れるのは楽だけしかいないのだ。だったら父親が見つかるまでは双子が寂しがらないようについていてやろう、そう決める。「今だけはたくさん泣いておけ。ただし苦しくならない程度に、だけどな。そんで明日からは笑って過ごそうぜ。お前らの母さんもお前らが笑っている方が嬉しいだろ。」 「ほんと…?」 「おかあさん、ボクたちがわらってるほうがよろこんでくれる?」 「当たり前だろ。大切に思っているからこそ笑ってて欲しいんだ。自分のことで悲しませるよりもな。」だから泣くのは今日で終いだからなと二人の頭を優しく撫でてあげると揃って小さくうんと返事をする。二人分の涙を受け止めた楽の服はかなりビチャビチャではあるが今日だけの特別扱いだからなと二人には聞こえない声で溢す。 子供のあやしかたはほとんどわからない楽だが、なんか大体は背中を優しくとんとん叩いていれば大人しくなるというのを子供をあやしている母親たちの見よう見まねでやってみたのだが、見事に天と陸が泣き疲れて寝落ちたので、これすげぇな!と心の中で賞賛する。