「それじゃ……その、また後で。どこか休めるところとか教えられたらいいんですけど」「ああ、それは大丈夫。大学がこのへんにあって庭みたいなものなんで。すぐそこにあるショッピングモール一階にある、リターズってカフェ屋で待ってます」「すぐ側にある大学ですか?」 側の大学といえば一つしかない。 頷くと、それまで当たり障りのなかった表情に親しみが生まれた気がした。「その、私、志乃原しのはら真由まゆっていいます」「羽瀬川悠太。……それじゃ、また」「あ、はい。わかりました。リターズですね」 彩華の時とは対照的な少しぎこちない挨拶を済ませ、カップルが集うショッピングモールに足を向ける。 色とりどりに散りばめらたクリスマスカラーの装飾を眺めながら、不思議と自分の足取りが軽くなっているのを感じた。