それは大事な生放送番組の収録直前だった。 楽屋で他愛もない話をしていると、マネージャーが顔を蒼白にして飛び込んできたのだ。 最悪な知らせを持って。「天、聞いて! 陸くんの容体が急変したって!!!」「なっ・・・?」「今、手術中だけど今夜が今夜が峠だろうってお医者様が。」「そう、それで?」「それでって・・・・・。双子の弟なんでしょう。 番組には私が話を通しておくから早く陸君のもとへいってらっしゃい!」「そうだよ、天。 早くいった方がいい。」「センターがいなくても十分俺たち二人でできるしな。」「・・・・僕はいかないよ。」「な、何言ってるんだ! 弟が死にかけてんだぞ!!!?」「・・・・・・なにを言われても僕はいかないよ。 僕は今、九条天だ。たくさんの僕のファンが僕を待ってる。 それに、僕には七瀬陸なんて弟はいないよ。いるのは妹だけだ。」「てん・・・。」「お前は、本当にそれで後悔しないのかよ。」「・・・もちろん。」「じゃあ、もう俺らは何も言わねぇよ。」「・・・ありがとう、楽。」「ああ」