今思い返してみれば顕著に思う。熾天使たちがテンとリクに知識というものをどれほど奪ってきていたのかを。イオリと出会ってからは彼が行う全てが知らないことばかりで、興味ばかりが湧いてくる。双子の姿は精悍した青年であるのに、まだ十三歳のイオリに付いて回っては目を輝かせる様は子供のようで、なんだかんだイオリも二人の世話を焼くことに少しばかり楽しさを感じていた。「愛といっても様々ですよ。親しみを込めたものから、醜い感情を含むものまで。ただ共通して言えることはそのどれもが相手を好きでいるということです。嫌うことも愛だと言う人もいるかも知れませんが、ごく僅かです。」 「好き・・・テンにぃとずっといたいって思うのは好きだから?」 「そうですね。それもまた好きという感情の一つだと思います。」 「なるほど、そういう類なのか。じゃあ、リクを誰にも奪われたくないと思うことも愛と呼ぶものになる?」 「言ってしまえばそうですね。」 「ふぅん・・・」