見返りを求めるのは恋、求めないのは愛。 許せるのは愛、許せないのは恋。 受け取るのが恋、与えるのが愛。 恋と愛。同じようで同じではない。けれど本質である誰かを想う、ということは同じだ。誰かに恋をして、その気持ちが育まれていき、やがて愛となる。実際はそこまでの違いなんて存在しないのかもしれない。 でも僕ははっきりと分かる。生まれる前から僕たちは愛し合っていた、ということ。***スマホがラビチャの通知で静かに鳴る。慣れた手つきでスマホを弄り、『そっちはなにか進展はあったか?』の楽からの内容に僕はなんの躊躇いもなく、『まだ分からない』とだけ送った。 アイドリッシュセブンのセンター、七瀬陸。彼は今、突如としてその姿を晦ませた。否、彼の意志ではない、第三者によって誘拐された、という方が正しい。 しかし世間に露見すれば騒ぎになるのは間違いなく、現段階では病気で入院しているということになっている。陸が行方不明になっていることを知っているのはごく一部のみ。 僕もまた、その中の一人。信用をされている証でもある。 七瀬陸。天のたった一人の大切な弟。 生まれる前からずっと一緒にいた。ずっと、ずっと一緒にいたかったけど、僕はあの子の為にあの子から離れた。 傷つけてしまうことは分かっていた、でもそれも終わりだ。 これからは与えてあげられる。僕がどれだけ陸を愛しているかを。 だから僕は今日も陸に愛を与える。 鍵をかけた部屋へ身体を滑り入れ、僕は笑みを浮かべた。 ベットサイドのランプの灯りだけの薄暗い部屋に質のいいシーツを敷いたベッドの上で懸命に両手を拘束するベルトを外そうと腕を動かしているがそう簡単に外れてしまっては拘束している意味がない。