目を大きく見開いて楽を見るその目にいたたまれなさを感じる。しばらく黙り込んでいた陸だったが、段々と目に涙を浮かべ始めてうそだもんと溢す。「陸、俺と約束したの忘れたか?」 「した...けど、そんなのやだ!にぃにうそだよね!?てんにぃ、おかあさんおうちいるよね!?」 「りく...ほんとうだよ。おかあさんはもういないんだよ。」 「うそだぁぁっ...やだぁぁ...」やだやだと泣き出した陸に発作が起きるからと天が泣きやませようとするが、暴れ始めると体格が同じである天には手に負えなくなる。だけどこのままほって置くのは陸の体調に関わってくる。慌てて楽が陸をがっちりと掴んで動きを止めさせるが、泣き止ませることはできなかった。泣きすぎても発作の原因になる、そう宗助に言われている以上はなんとか泣き止ませなければならない。「おとうさぁん...」 「悪いな陸、父親にも会わせてやれなくて。どこに行っちまったのか俺には分からねぇんだ。」 「ふぇ...」 「俺が代わりで悪いけどな、今は安心できるまではそばにいてやる。ほら、こっちにこ...ぐふっ...勢いつけすぎだろ...」