あの日までは「っ、は・・・九条!!」項垂れるように壁によし掛かりぼんやりとしていた天に声が掛かる。だがその声の主を見る気力も今はない……ズボンを床を濡らす水滴は止まらず、こんなにも泣く事が出来たのか。バタバタと複数の足音が聞こえ、ガラガラと機材を運ぶ音。 そして、その足音が陸の病室へと入って行く。扉を開ければ、大和の陸を宥める声と発作の咳き込み音。 あぁ、何故自分はそこに居れないのだろうか。 そんな自分を優しく包み込む温もり。これは・・・ゆっくりと顔を上げれば眉を八の字に顰めた和泉三月だった。あぁ、彼だったのか、この優しくて力強い温もりは・・・安心する。「大丈夫か…そんなワケもねーか…泣けるなら泣いておけ。これからがオレ達の戦いだから」