「ずっと飲んでいると慣れてくるものですよ」 そんなことや、他にも最近あった出来事なんかを話している内にケーキセットが運ばれてきた。「わ~、美味しそう~」 運ばれて来るや否や写真を撮る彩。「インスタにあげとこ~」「あっ」 紗夜が声を発した時にはすでに遅かった。「え? 紗夜ちゃんどうし……あっ……」 彩のスマホの通知音が鳴る。 彩の投稿に対してファンからの多くの返信がある中、それらの一番上に表示されている一際目立つたったの五文字。『彩ちゃん?』「……やっちゃったよぉ……」「仕方ないですね、私も一緒に口を利いてあげますから」「うぅ~ごめんね~……ありがとぉ……」「とりあえず気を取り直していただきましょうか」「うん……そうだね……!」「「いただきます」」「ん~、おいひぃ~」「美味しいですね」「ほら紗夜ちゃん、こっちのチーズケーキも美味しいよ! あーん」 フォークを差し出してくる彩に紗夜は一瞬戸惑ったが恥じらいながらもそのまま食べる。「ん、美味しいです……彩さん、こっちのチョコレートケーキ、どうぞ……」 そう言って紗夜は、顔を少しそらしながらも一口大に切ったケーキを彩の方に差し出す。その顔は真っ赤だ。「あーん、ん! ほんとだ! こっちも美味しいね! いやぁ~、紗夜ちゃんと一緒に来れてよかったよ~」「それなら……よかったです……」 まだ恥ずかしさが残っている紗夜は、逃げるようにして珈琲を啜った。 そうして、また他愛もないことを話していたら、気がつくと日が暮れかけていた。